季語の絵日記

日々移ろう季節の出来事をつづりました。

晩夏から初秋

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もう何年もヒグラシが鳴くのを聞いていない気がします。
ヒグラシの声は山で聞くものだと思っておりましたが、図鑑には平地でも鳴くと書いてあります。そこで近所の小高い丘の森、森といってもこれは古墳で、佐紀盾列古墳群とよばれる古墳密集地帯でありますが、そこへ行けばヒグラシの声が聞こえるでしょうか。

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着いたときには日の暮れまでまだ時間があり、ツクツクボウシたちが盛大に鳴いております。ツクツクボウシは秋の季語になっていますが、本当は夏の初めから鳴いているのだそうです。アブラゼミやクマゼミの大声にかき消されて目立たず、これらのセミがいなくなった晩夏から初秋にようやく日の目を見るのだそう。
ツクツクボウシの大盛況のなか、私は日葉酢媛命(ひばすひめのみこと:垂仁天皇の后)のお墓の前にすわって、日の暮れるのを待ちました。
日が陰って涼しくなってくると蚊がふえます。腕や首がだんだんかゆくなってきてもヒグラシは鳴きません。やがてツクツクボウシの声が夜の虫たちの声にかわり始めます。辺りは薄暗くなりましたがヒグラシは鳴きません。とうとうツクツクボウシは鳴くのをやめて、すっかり日も落ちてしまいましたが、ヒグラシは鳴きませんでした。

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山に行ったらきっと聞こえるのでしょうが、今年もその声を聞かずに夏は終わりそうです。