季語の絵日記

日々移ろう季節の出来事をつづりました。

さくらももこさんのエッセイ

f:id:huutaku:20201005010634j:plain
学生の頃、北海道から九州まで青春18きっぷを使って鈍行列車で旅をしたことがあります。東北地方はなかなか電車がこなくて、乗り換えに2時間近く待つこともありました。
確か秋田県だったと思うのですが、電車を待つ間駅を出て、少し町を歩いてまわると、電線にツバメが3羽とまっていました。その光景が何故かいつまでも心に残っているのです。
ツバメは渡り鳥ですから、冬の間南の方の国で過ごし、春になると日本にやってきます。3月のことで、その年最初に見たツバメだったのだと思います。旅をして新しい気分になった私の心と呼応したのかもしれません。

旅の途中さくらももこさんの『もものかんづめ』というエッセイを読みました。それがおもしろくておかしくて仕方なかったのです。ちびまるこちゃんの作者の書いたエッセイですから面白いのも当然ですが、電車の中で笑いをこらえるのに必死だったのを覚えています。
さくらももこさんのエッセイはシリーズでたくさん出ていますが、それきりで他の本は読みませんでした。本は何か学ぶために読むのだという意識があったらしく、娯楽の本はできるだけ避けていたと思われます。

「私のブックレビュー」では気軽で楽しいエッセイや紀行文などを紹介します。だからさくらももこさんのエッセイは是非。
ということで本屋で『さくら日和』を買って読みましたが、もちろんすごく面白くておかしい。
さくらさん35歳ごろの日常を描いたエッセイ。男の子が1人と父ヒロシと母との四人暮らし(夫と離婚した直後)。14つの話が収録されていますが、全部面白い。集英社の担当新福さんに感謝して奇想天外パーティーを開いた「おめでとう新福さん」、父ヒロシを同伴した社員旅行「台湾台風ふたたび」、息子が母親はさくらももこではないのかと疑いだした「深まる息子の疑惑」などはめちゃくちゃ面白い。
普段外で本を読むことが多いのですが、笑って読みたいから全部家で読みました。
「健康の研究」という話の中でさくらさんの健康マニア具合が紹介されていて、それもすごく面白いのですが、まだ 若くして亡くなったさくらももこさんのことを想うと、ちょっと切なくなります。