季語の絵日記

日々移ろう季節の出来事をつづりました。

晩夏から初秋

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もう何年もヒグラシが鳴くのを聞いていない気がします。
ヒグラシの声は山で聞くものだと思っておりましたが、図鑑には平地でも鳴くと書いてあります。そこで近所の小高い丘の森、森といってもこれは古墳で、佐紀盾列古墳群とよばれる古墳密集地帯でありますが、そこへ行けばヒグラシの声が聞こえるでしょうか。

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着いたときには日の暮れまでまだ時間があり、ツクツクボウシたちが盛大に鳴いております。ツクツクボウシは秋の季語になっていますが、本当は夏の初めから鳴いているのだそうです。アブラゼミやクマゼミの大声にかき消されて目立たず、これらのセミがいなくなった晩夏から初秋にようやく日の目を見るのだそう。
ツクツクボウシの大盛況のなか、私は日葉酢媛命(ひばすひめのみこと:垂仁天皇の后)のお墓の前にすわって、日の暮れるのを待ちました。
日が陰って涼しくなってくると蚊がふえます。腕や首がだんだんかゆくなってきてもヒグラシは鳴きません。やがてツクツクボウシの声が夜の虫たちの声にかわり始めます。辺りは薄暗くなりましたがヒグラシは鳴きません。とうとうツクツクボウシは鳴くのをやめて、すっかり日も落ちてしまいましたが、ヒグラシは鳴きませんでした。

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山に行ったらきっと聞こえるのでしょうが、今年もその声を聞かずに夏は終わりそうです。

夏の終わりの法隆寺


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法隆寺のような見るべきものが山ほどあるお寺は、どうしたって気負いしすぎて疲れますから、何も見ないつもりでただのんびりとお参りするのもたまにはいいかもしれません。
風鈴の音に誘われて休憩所で一杯ジュースを飲む、こんな事もいつもはしない、そんなのんびりしていられない、なんといったって法隆寺。しかし今日はジュースを一杯飲んでしまってなおかつ風鈴の音を耳にぼやーっとするくらいの余裕を見せよう。

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法隆寺の境内はとてもきれいで、きれいな築地塀がめぐらされていますが、それでいてどこまでも古の雰囲気をたたえているところが、他のお寺と一線を画するこのお寺のすごさ。
回廊に囲まれた西院伽藍に入れば、世界最古の木造建築として名高い金堂、五重塔、それもしげしげとは見ずにただ伽藍配置の美しさを傍観し、金堂右手から中へと入れば、あまりにも有名な飛鳥時代の金銅釈迦三尊がおわします。いつもは気負い急いた気持ちで入るこのお堂、今日は落ち着いて、落ち着いていたために、堂内の見え方が違っています。
聖徳太子の生きた飛鳥時代は時代区分でいうと古代。金堂内は厳かな古代の雰囲気をたたえています。その古代の空気にどっぷりと浸ってしまい、なかなか離れることができず、ようやく、にわかに高ぶった感情をお堂に置いて外に出れば、雲行きはあやしく、風が強い。風は金堂と五重塔の屋根の隅という隅にぶらさがった風鐸を、小さなものはかんからかんと軽快に、大きなものはがらんがらんと鈍く揺らします。

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参拝を終えて近くのお店で夕飯を済ませた後、おぼろ月夜の下、ふたたび斑鳩(いかるが:法隆寺のある地域をこう呼びます)の里を散歩しました。日中あれほど暑かったのに、夜はもう涼しく、虫たちの声は秋が近いことを告げているのでした。

原稿用紙いちまい文

 

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一般に原稿用紙一枚はマス目20×20の400文字。
「原稿用紙いちまい文」というタイトルですが、たいていもう少し文字数が多くなりますので、要するに短い文ということでございます。

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「本羽亭(ほんぱてい)しきえもん」という名前はずいぶん滑稽ですが、これは翻波式衣紋(ほんぱしきえもん)という平安時代初めの仏像によく見られる、仏のまとう衣をひるがえった波のように表現する様式がありまして、それをもじって「本羽亭しきえもん」としたわけです。
そんな名前をつけるくらいですから私はお寺参り、ことに仏像が好きなのです。
ですからお寺参りのこと、それからその道中見つけた季節の風物詩のことを主につづっていこうと、このように思っております。

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私が心ひかれたもの、おもしろいとおもったことを書くのですから、それが皆さんにとっておもしろいかは分かりません。あまりだらだらと書いても退屈なさるだろうと思って、原稿用紙いちまい文と致しました。

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